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人を動かすにはたった一つのことを意識すれば良い|TEDスピーチ「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」

今回は、TEDスピーチの中で、サイモン・シネック氏の「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」の紹介をします。このスピーチは、TED内で4123万回再生されており、3番目に多く再生されている名スピーチです。Appleという企業を例にとって、人々を動かせるにはどうしたら良いのかということを結論付けています。


サイモン・シネック氏とは?

イギリス出身で、リーダーや企業、非営利組織に対して「人々をインスパイアする方法」を伝授してきたコンサルタントです。これまでアメリ連邦議会議員、外交官、国連、国防総省マイクロソフトなどでWHYの力を伝授してきました。

優れたリーダーはどうやって行動を促すか

www.ted.com

本スピーチは、なぜAppleがあれほど革新的なものをつくり続けられ、売り上げを上げ続けられるのかという疑問を中心に、大きく2つのトピックスで進められています。
・ゴールデンサークル
イノベーション普及の法則

最終的な結論は「人は何をではなくなぜに動かされる」ということです。

つまり、自分が信じるものを信じてくれる人に売ることを目指すことでAppleは売り続けられるということです。

詳しく知りたい人は、動画を見れば分かります。その動画内の詳細をまとめましたので、ご覧ください。

ゴールデンサークル

ゴールデンサークル図
ゴールデンサークル

なぜ?WHY どうやって?HOW 何を?WHAT
この3つのなぜ?という部分を考える人は少ないです。

What→How→Why これが、外から中への動きです。明瞭なものから曖昧なものへと。しかし、これではダメだと言っています。

Why→How→What 何をして、どう違いどう優れているのかを述べ、相手に何か行動を期待する。これがリーダーになる人にはできているのです。

人々は「何を」ではなく、「なぜ」に着目するということです。以下に具体的な例を載せています。

脳は3つの主要な部位に分かれている

脳とゴールデンサークルの構造は同じです。外側のWhatの部分は大脳新皮質で「何を」のレベルが判断されます。合理的・分析的な思考と言語を理解します。

真ん中のHowの部分は大脳辺縁系で、感情・信頼・忠誠心などにまつわります。

そして中心のWhyの部分。これが行動を操ります。

もし、外から中へのコミュニケーションの場合、大量の複雑な情報を理解することはできても、行動には繋がりません。

逆に、中から外へのコミュニケーションの場合、行動を制御する脳の中心と直接やり取りできます。理由付けは後からで、直感的な決定はここから生まれます。

具体例

Appleと他社の売り方がどう違うのでしょうか?見ていきます。

他社:我々のコンピューターは、すばらしく美しいデザインで簡単に使うことができる、ユーザーフリーです。おひとついかが?」

Apple:「我々のすることは全て世界を変えるという信念で行なっています。違う考え方に価値があると信じています。私たちが世界を変える手段は、美しくデザインされ簡単に使えて親しみやすい製品です。こうして、すばらしいコンピューターができあがりました。」

Appleもその他のグループも同じコンピューター会社です。同じような人材・メディア・代理店・コンサルティングを使い、同じような機器を売っています。

しかし、なぜここまで差がでるのでしょうか?それは、Appleが「なぜ?」の部分を発信しているからなのです。

よくApple信者という言葉を耳にしますが、それこそが全てです。自分が信じたAppleの信念を買っているのです。


イノベーションの普及の法則

上位16%までの人が直感的に動きます。つまり「なぜ」の部分で行動に移す人たちです。次のアーリーマジョリティの34%の人たちは、誰かが買ったら買う人たちです。つまり、16%「なぜ」で買ってくれる人たちを動かすことができたら、続いて34%のアーリーマジョリティが買ってくれます。

この「なぜ」にあたる16%の人たちが、販売開始と同時に何時間も並んで買ったり、大金を出して買ったりしている人たちです。彼らは、自分のために買っています。一番乗りしたいという一心で。

つまり、自分の信念を信じて買ってくれる人を引きつけることが重要なのです。

ライト兄弟が飛行機を飛ばせたのはなぜ?

「なぜ」の部分が重要ということが分かる例が2つあります。その一つがライト兄弟の話です。

ライト兄弟は誰もが知っている飛行機を飛ばした人たちです。しかし、当時は無名でした。こぞって世間が応援していたのは「サミュエル・ラングレー」という人物です。ラングレーとライト兄弟は対比の関係です。

・ラングレー
5万ドルの資金を陸軍省かはもらっていました。ハーバード大学に在籍し、スミソニアン博物館で働いていたので人脈が豊富でした。さらにニューヨークタイムズが追いかけ、世間が応援していました。物事がうまくいく成功のレシピ「富・人材・環境」全てがそろっていました。

ライト兄弟
自転車店からのなけなしのお金が資金でした。チームの誰一人として大学を出ていません。記者が追いかけたり、世間から応援されるということもありませんでした。

では、なぜライト兄弟が飛行機を飛ばせたのでしょう?そこには信念が関係しています。

ライト兄弟は「飛行機を作りあげたら世界を変えられる」という大きな大義と信念を持っていました。一方のラングレーは「富と名声」のためでした。ラングレーはライト兄弟が飛行機を飛ばした日に研究を辞め、諦めました。

物事がうまくいくかいかないか、それは、信念によるということなのです。

1963年の夏、25万人もの人が集まったキング師の演説について

その当時、キング師だけが偉大な演説家というわけではありませんでした。市民権運動以前のアメリカで彼だけが苦しんでいたわけではありません。それなのになぜ、25万人もの人が炎天下の中集まったのでしょうか?

キング師は「アメリカを変えるために何が必要か」などは説かずに「自分が信じていること」を語ったのです。「I believe...」「I believe...」と。

そうして、彼が信じることを信じる人が集まり拡散して25万人になったのです。ただ彼らはキング師のために集まったのではありません。自分自身が信じるもののために集まったのです。

まとめ

我々は伝えるときに「何を」を重視しがちですが、判断するときは「なぜ」に着目します。つまり伝えるときも、Whyから伝えることでうまくいくのです。

仕事ができるというだけで採用しては、その人はお金のためだけに働きます。しかし、信念を信じてくれる人を採用すれば、その人は必死に仕事をこなしてくれるでしょう。

そうした、なぜ?という部分に着目するだけで物事はうまくいくのです。