TEDで最も再生されているスピーチ紹介|ケネス・ロビンソン「学校教育は創造性を殺してしまっている」
今回はTEDスピーチの中で最も再生されている有名なスピーチを紹介します。そのスピーチとは、イギリスの能力開発・教育アドバイザーのケネス・ロビンソン氏によるスピーチで、その再生回数は5000万回オーバーです。(以下敬称略)
ケネス・ロビンソンによるスピーチ「学校教育は創造性を殺してしまっている」を紹介する前にケネス・ロビンソン氏の紹介をしたいと思います。
- ケネス・ロビンソンとは?
- TEDスピーチ「学校教育は創造性を殺してしまっている」
- 今の教育システムでは失敗は最悪だと教えられる。
- 世界中どこにいっても教育システムは同じで科目に優劣がある。
- 知性の意味を考え直す必要がある
- 人類生態学という新しい概念を取り入れるべき
- 結論
- まとめ
ケネス・ロビンソンとは?
イギリスの能力開発・教育アドバイザー・思想です。TEDでのプレゼンテーション「学校教育は創造性を殺してしまっている」は、TEDのスピーチで最も視聴回数が多く人気です。
人間はもっと「農業的」有機的存在として教育され成長すべき、と説く演劇などを取り入れた斬新な教育方法を実施し、数学や科学を含めた子供たちの学習成績を大幅に改善功績が認められ、サー(ナイト)の称号を授かる。
TEDスピーチ「学校教育は創造性を殺してしまっている」
(ted.com)
https://www.ted.com/talks/ken_robinson_says_schools_kill_creativity
このスピーチは4つのトピックを中心に結論として「学校教育は創造性を殺してしまっている」ということを述べています。
・今の教育システムは失敗を最悪だと教える
・世界中教育システムは同じ
・知性の意味を考え直すべき
・人類生態学という新しい概念
動画を見る暇がない忙しい方に向けて、要約して紹介します。それでは、視野を広げていきましょう。
今の教育システムでは失敗は最悪だと教えられる。
特に社会に出てからの会社は、過ちを犯すことを非難する傾向にあります。間違いを恐れていては独創的なものなど思いつけません。間違えることを許されずに育つと、子供は本来の本能を失ってしまいます。
ピカソは「子供はみな生まれながらのアーティストだ。問題は成長しながらどうやってアーティストたり続けるか」と言いました。
子供たちは何でもやってみるものです。間違えることを恐れてはいません。
それなのに、教育システムによって失敗は失敗であることを教えられ、人間本来の創造性を失わせているのです。
ケネスが挙げた例
絵の教室に通う6歳の少女がいました。いつもはすぐに飽きてしまい遊んでしまう少女。しかしある日、教室の隅の方で熱中して絵を描いているので、先生が尋ねました。「何を描いているの?」
すると、少女は答えました。「神様の絵を描いているの」
そこで先生は「神様がどんな姿をしているか誰も知らないのよ」と言います。それに対して少女はこのように答えます。
「もうすぐわかるわ」
確かに我々大人からしたら、神様という存在がないことも(信じている人もいるでしょう)、その姿形は誰にもわからないことを知っています。
大人になるにつれて、我々は学んでしまうんです。子供のような純粋な心を忘れてしまっているのです。
世界中どこにいっても教育システムは同じで科目に優劣がある。
世界中の教育システムはほとんど同じです。語学と数学がトップ。次が人文系。一番評価されないのが芸術系です。また、その芸術系の中でも、「美術と音楽」は演劇やダンスよりも上に位置します。
どうして数学のようにダンスを毎日教えないのでしょう?
それは、教育制度が作り上げられ19世紀には公教育というものはなかったからなんです。
今の教育システムはそのほとんどが19世紀に作られたものと等しく、科目の優劣は産業社会のニーズによって決まりました。そのニーズとは
1.働くために有用な科目が最優先されたこと
2.学力・学校の成績だけが知性だと思われること
これらはもともと、大学の教授をゴールとした教育制度でした。現代とは異なり、昔は大学を出れば職が見つかる時代でした。
今や、学士だけではなく、修士・博士号が必要になっている時代で、大学教育のインフレが起こっています。世界的には、これから30年でもっと増えると予想されています。
つまり、教育制度の根底が変わりつつあるのです。
知性の意味を考え直す必要がある
これまでの教育は、知性=学校の成績・学力とされてきました。しかし、大学教育のインフレが起きるこれから先、知性について考え直す必要があり、知性とは本来、以下のようなことを指します。
1.多様であること
我々は生物の中で唯一考えられる生き物です。物事や世界をあらゆる視点から捉え、視覚・聴覚・感触・抽象的に捉えることができます。
2.ダイナミックであること
人間の脳にはインタラクティブの性能があります。脳はいくつもの部分に区切られているわけではなく、左脳と右脳をつなぐ脳梁によって連動しています。
創造性とは、独創的で価値あるアイディアを構築するプロセスのことを指します。つまり創造性は、様々な分野や価値観の相互作用によって生まれるものなのです。
3.比類なものであること
いつ自分の才能が開花し、それに気づくかことができるのかというのは分かりません。ある人から見れば才能がない人も、ある人から見たら才能があるということは多くあります。
ケネスの例
ジリアン・リンという振り付け師の話で、「キャッツ」や「オペラ座の怪人」といった偉大なミュージカルを手がけた人です。そんなジリアンのダンサーになったきっかけの話です。
ジリアンは小学校のころ、学校側から学習障害があると言われました。「集中力がなく、いつもそわそわしている」と。
ジリアンの母親は専門家に相談しに行きました。30分間3者面談の形でいろいろと話を聞いた後、ラジオを付けジリアンを部屋に残してその様子を外から観察します。そこには、音楽に合わせて動き始める姿があります。
そこで専門家は母親に「ジリアンは学習障害なんかではありません。ダンサーです。すぐにダンススクールに通わせてください。」と言います。
その後はダンススクールに通い、ロイヤル学校を卒業後、ジリアン・リン・ダンスカンパニーを設立。その後、偉大なミュージカルを手がけるまで成長します。
もし専門医が違う人だったら、ジリアンを薬漬けにしていたかもしれません。そういった可能性もあるということです。
人類生態学という新しい概念を取り入れるべき
人間は豊かな可能性を持っているという新しい考え方を築くものです。これからは次世代の人間を育てるために、根本的な理念を再考しなければなりません。
ジョナス・サークは「仮にすべての昆虫が地球から消え去ったら、その後50年間であらゆる生き物が消滅するだろう」「もし、地球上から人類が消え去ったら、50年後にはあらゆる生物が豊かになるだろう」と述べています。
結論
TEDが称賛するのは、人間の持つイマジネーションです。いかにこの天賦を賢く活用するか考えなくてはなりません。想定されたシナリオを回避するために私たちの生を豊かにすることを知り、子供たちが未来の希望であることを認識すること。子供をあるがままに育てなくてはならい。私たちが未来を見ることはないかもしれないが、子供は未来を生きていくのです。
まとめ
ケビン・ロビンソンが言いたかったことは「子供を自由に育てなさい」ということだと思います。
大人になるにつれて、諦めることを知り、夢をあきらめ、失敗を非難され・・・、子供の頃に描いていた未来を見れなくなっていきます。
こらから必要なのは、そういった概念・考えを子供に押し付けず、今までの常識を変えることです。
大学教育がインフレになり、過去とは確実に異なる時代に突入しています。これからもインフレは拡大していくでしょう。
自分たちよりも未来を見ることができる「子供」の「教育」について、もう少し深く考えるべきなのでしょう。